東京高等裁判所 昭和28年(う)265号 判決
被告人 丸山信繁
〔抄 録〕
同控訴趣意書一、の(四)について。
原判決が被告人の判示第一、第二の覚せい剤取締法違反事実に対する法令の適用としては刑法第四十五条第四十七条第十条を示しているが、いづれも最も重い罪であるかを示していないこと所論の通りである。しかし、原判決が刑法第四十七条第十条の適用を示していることは、原判示第一、第二の事実に対する罰条の法定刑が全く同一であるから、その犯情に依つて軽重を定めその重き罪の刑に法定の加重をしたものであることを示したものと認められるのである。従つて原判決が判示事実のいづれが犯情最も重い罪であるかを判文上特に明示しないとしても併合罪の加重のための法令の適用を示さなかつたということはできないのみならず、原判決の事実摘示自体に依つても、判示第二、の覚せい剤不法所持の事実が犯罪の態様に徴し犯情最も重い罪と認められるから、原判決はこの罪の刑に併合罪の加重をしたものということができるのである。しからば原判決には所論のような理由を附さない違法はないから論旨は理由がない。